海外取引・進出におけるライセンス契約
についてわかりやすく解説
自社が海外取引・進出するにあたって、現地パートナーと連携して事業を行うことも十分に考えられます。例えば、現地パートナーに自社製品を製造し、販売してもらったり、現地の販売代理店として自社ブランドの製品を販売してもらったり、現地のフランチャイジーとして自社ブランドで店舗展開してもらうといった具合です。
そのようなときに、自社の保有する特許やノウハウの実施を許諾したり、商標・ロゴの使用を許諾するために、現地パートナーとライセンス契約を締結する必要が出てきます。
このページでは海外取引・進出におけるライセンス契約についてわかりやすく解説します。
■海外進出におけるライセンス契約とは
現地パートナーと連携して事業を行う際に、自社の保有する特許、ノウハウ、商標などの知的財産権の使用を現地パートナーに許諾する必要がある場合があり、この際に締結されるのがライセンス契約です。「ライセンス契約」という名称で締結することもありますが、製品の製造や販売に関する業務提携契約、販売代理店契約またはフランチャイズ契約などの中にライセンスの章を設けて定めることもあります。
実際の契約では注意すべき条項は他にいろいろありますが、ライセンサー(使用許諾者)の立場に立つと、ライセンス契約では、特に以下の内容に注意すべきです。
(1) どの範囲の製品(サービス)のどういう行為(製造、販売など)に対して、何(特許、ノウハウ、商標など)をライセンスするのか
(2) どの地域(テリトリー)でライセンスするのか、そのテリトリーでの独占ライセンスなのか非独占ライセンスなのか
(3) 現地のパートナーだけに使用を許諾するのか、第三者による使用(サブライセンス)も認めてよいのか
(4) ライセンス料(ロイヤリティ)をどのような方法(一括でもらったり、製造・販売数量に応じてもらうなど)で徴収し、どのように計算して、どの程度の頻度で支払うのか
(5) ライセンシーの製造・販売数量の報告義務、事業所の立入権や会計帳簿などの監査権
(6) ライセンシーの不争義務(ライセンスの対象である権利の有効性を争わない義務)
(7) 改良技術のライセンサーへの報告義務
また、ライセンサーとしては、ライセンシー(使用を許諾された者)の選定を適切に行わなければ、ノウハウの流出を引き起こし、自社に損害を生じさせる可能性があります。例えば、情報・文書管理、製造委託先の管理や従業員の労務管理のずさんな会社、社員の流動性の高い会社などは、自社が提供したノウハウが外部に流出するリスクが高いと言えます。
また、商標登録を現地のパートナーにやってもらうこともよくありますが、この場合、自社の名義で登録出願しているか(現地のパートナー名義で出願していないか)注意する必要があります。ライセンスを終了する際によく確認してみると、現地のパートナーが商標登録をしていて、自社に戻したいのに譲渡してくれず、結局高額な譲渡料を払って買い取ったといった事例も見受けられます。
こういったリスクを適切に管理するためには、ライセンシーを信頼できる企業に厳選することが重要です。
■さいごに
以上のように、海外取引・進出においては、ただちに自社の製造・販売拠点を海外に設置するのではなく、現地のパートナーとライセンス契約を締結することによって進める方法があります。
これには上記のメリットやデメリットがあるため、弁護士等の専門家に相談をすることが好ましい場合があります。
また、日本とは法律の異なる海外での企業との契約締結や締結に際して作成する契約書の内容や、法人設立方法に頭を悩ませる経営者様は多くいらっしゃいます。国際取引・海外進出には大きなメリットも期待することができますが、その一方でコミュニケーションの問題・法的リスクの問題があることを念頭に置く必要があります。
弁護士 吉崎 猛(弁護士法人桜橋総合)は国際取引・海外進出支援に関するご相談を受け付けております。
大阪・関西地方を中心に、東北、関東、東海、北陸、中国、四国、九州地方まで幅広い地域のお客様から依頼を承っております。
ご不明な点やお困りごとがありましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
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弁護士吉崎 猛Takeshi Yoshizaki
お客様のスケジュール感に合わせ、柔軟かつ迅速にサポートいたします!
昨今の企業活動はもはや日本だけで成り立つものではなく、あらゆる面で海外のことが関わってくるため、日本法や日本語、これまでの日本での商慣習だけで対応することはできません。
当職は主に中小企業の海外取引や海外進出を中心とした様々な法務サポートや、日本で事業展開する外資企業の法務サポートも行っています。
また、海外の専門家とも提携しており、内容・費用ともクライアントに納得頂ける法務サービスの提供を心がけております。
所属団体等
- 大阪弁護士会所属
- 日本弁護士連合会指定の中小企業の海外展開支援弁護士
- 経営革新等支援機関
- さいたま市産業創造財団、横浜企業経営支援財団ほかのアドバイザー
取扱言語
- 日本語、英語、中国語
著書・論文
- ミャンマー会社法・外国投資関連法※監修、㈱アイキューブ
- 海外派遣者ハンドブック(フィリピン編)※主査、日本在外企業協会
- 中小企業海外展開支援 法務アドバイス※共著、経済法令研究会
- 日インドEPAの原産地規則※ビジネス法務
- 中国ビジネスのための法律入門 中央経済社 他多数
経歴
- 早稲田大学政治経済学部卒業
- ペンシルベニア大学ロースクール(LL.M.)卒業
- 大連外国語学院 長期語学研修課程(中国語)修了
- 2001年 日本国弁護士登録 (54期)
- 2009年 米国カリフォルニア州弁護士登録
- 現在 弁護士法人桜橋総合 代表社員
事務所概要Office Overview
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