不正競争防止法とは?対応のポイントなど
企業の技術・ノウハウやブランドを保護するために欠かせないのが、不正競争防止法です。
不正競争防止法は、同法で類型化された「不正競争行為」を禁止するための法律ではありますが、「不正競争行為」として、営業秘密の侵害、周知商品等表示の混同惹起、著名商品等表示の冒用、他人の商品形態(デザイン)を模倣した商品提供などの行為を定めており、特許法(発明)、商標法(商標)、意匠法(デザイン)など知的財産権を保護するための法律の補完的な役割を果たすものとして、時代に応じて改正が重ねられてきました。
今回は、不正競争防止法の基本的な内容と近年の改正ポイント、企業が意識すべき実務対応を解説します。
特許、商標、意匠登録は行っておらず、取引契約や秘密保持契約も締結していない相手にノウハウを取られた、ブランドを真似された、または商品のデザインを真似された商品が販売されているといった事態が起こった場合、不正競争防止法により取り締まることが考えられます。
不正競争防止法の概要
不正競争防止法は、企業活動における、公正な競争の確保を目的とした法律です。
不正競争防止法によれば、同法で類型化された「不正競争行為」を行うことは禁止されており、営業秘密の侵害、周知商品等表示の混同惹起、著名商品等表示の冒用、他人の商品形態(デザイン)を模倣した商品提供などの「不正競争行為」に対して、差止請求や損害賠償請求といった民事上の請求を行うことができます。また、「不正競争行為」によっては、拘禁刑又は罰金の刑事罰(不競法21条)の対象にもなります。
「不正競争防止法」なのだから、不正な行為(と思われる行為)があれば何でも保護されると考えがちですが、それだと範囲があまりにも広くなり、また、何が「不正な行為」なのか明らかでないのも商業上の競争を阻害することになるため、「不正競争行為」が法律で類型化されているのです。
対象となる主な行為
不正競争防止法で禁止されている「不正競争行為」は類型化されていますが、さまざまなものがあります。
例えば、上記の知的財産権に関連する不正競争行為だけでなく、技術的制限手段の回避、ドメイン名の不正取得、商品・サービスの原産地・品質の誤認惹起表示、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したり、流布したり信用棄損行為などがあります。
また、条約(OECD外国公務員贈賄防止条約)の禁止行為を国内実施したものとして、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るため、外国公務員等に贈賄等を行うことが不正競争防止法で禁止されています。
知的財産法との違い
特許、商標、意匠権などは、登録されて初めて発生する権利ですので登録していないと保護されません。
知的財産法との違いは、登録不要で不正競争防止法の規定や判例で定める一定の要件を満たせば保護される点です。
実務でも、ブランドやロゴを商標登録していない場合でも、不正競争防止法の「不正競争行為」に該当しないか、また、商品の形態に特徴があり、それを真似して販売しているような場合は「他人の商品形態(デザイン)を模倣した商品提供」に該当しないか検討しています。
また、営業秘密(ノウハウ)の侵害行為であれば、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たせば保護対象となります。
企業が取るべき実務対応
不正競争防止法により自社の知的財産を保護するには、単に法令を知るだけでは不十分です。
例えば、営業秘密(ノウハウ)を保護してもらうためには、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たす必要があり、感覚的に「営業秘密」だと考えているものよりも保護されるためのハードルは高いです。
従って、社内での情報管理制度や業務フローの見直しを通じた、実効性のある対策が求められます。
まず意識したいのは、営業秘密が社内で適切に管理されているかどうかです。
書面やデジタルファイルに「秘密」「社外秘」と明記するだけでなく、アクセス制限やログ管理の仕組みも必要になります。
仮に不正が発生した場合に、早期対応できる体制も重要です。
まとめ
不正競争防止法は、企業の知的資産を守るための重要な基盤です。
法改正の動向を把握することに加え、社内外の情報管理体制を見直すことが、将来的なリスクの低減につながります。
不安があれば、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
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弁護士吉崎 猛Takeshi Yoshizaki
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昨今の企業活動はもはや日本だけで成り立つものではなく、あらゆる面で海外のことが関わってくるため、日本法や日本語、これまでの日本での商慣習だけで対応することはできません。
当職は主に中小企業の海外取引や海外進出を中心とした様々な法務サポートや、日本で事業展開する外資企業の法務サポートも行っています。
また、海外の専門家とも提携しており、内容・費用ともクライアントに納得頂ける法務サービスの提供を心がけております。
所属団体等
- 大阪弁護士会所属
- 日本弁護士連合会指定の中小企業の海外展開支援弁護士
- 経営革新等支援機関
- さいたま市産業創造財団、横浜企業経営支援財団ほかのアドバイザー
取扱言語
- 日本語、英語、中国語
著書・論文
- ミャンマー会社法・外国投資関連法※監修、㈱アイキューブ
- 海外派遣者ハンドブック(フィリピン編)※主査、日本在外企業協会
- 中小企業海外展開支援 法務アドバイス※共著、経済法令研究会
- 日インドEPAの原産地規則※ビジネス法務
- 中国ビジネスのための法律入門 中央経済社 他多数
経歴
- 早稲田大学政治経済学部卒業
- ペンシルベニア大学ロースクール(LL.M.)卒業
- 大連外国語学院 長期語学研修課程(中国語)修了
- 2001年 日本国弁護士登録 (54期)
- 2009年 米国カリフォルニア州弁護士登録
- 現在 弁護士法人桜橋総合 代表社員
事務所概要Office Overview
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