【2026年1月施行】下請法改正の主なポイントとは
2026年1月から下請法の改正が施行され、企業間取引におけるルールが大きく見直されます。
本記事では、2026年施行の下請法改正における主なポイントについて解説します。
法律名の変更
今回の改正では、長年定着していた「下請法」という名称が見直され、「中小受託取引適正化法(取適法)」へ変更されます。
あわせて、「親事業者・下請事業者」といった上下関係を連想させる呼称は改められ、「委託事業者・中小受託事業者」など、対等な関係を示す用語へ統一されます。
適用対象と適用範囲の拡大
改正により「取適法」となったことにより法の適用対象を判断する基準が見直されました。
従来の委託事業者と中小受託事業者との間の「資本金」による基準に加えて、「従業員数」による基準が導入され、「資本金」基準か「従業員数」基準のどちらかを満たせば、適用対象となります。
そのため、これまで下請法での対象外だった事業者が新たに取適法での規制対象となる可能性があります。
あわせて、運送や保管などの物流業務も「特定運送委託」として適用対象取引に追加されます。「特定運送委託」は、事業者が販売する物品や製造や修理を請け負った物品などについて、その取引の相手方に運送する場合に、運送業務を他の事業者に委託する取引です。運送業務を他社に委託する企業は、適用対象となるのか否か、また契約条件や運用について取適法を遵守しているのかどうか確認が必要です。
取引ルールの変更点
取引における禁止行為や義務も大幅に見直されます。
特に重視されているのが価格転嫁です。
労務費などのコスト上昇分について、受注側と協議を行わずに一方的に取引価格を据え置く行為が明確に禁止されます。
発注側には、価格交渉の申し入れに応じる義務が課されることになります。
また、代金の支払い条件も厳格化されます。
支払いは原則として現金によるものとされ、手形やファクタリングを利用する場合でも支払期間を製品やサービスの受領日から60日以内とすることが法律で義務付けられます。
そして、委託事業者は、製品やサービスの受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの日数に応じ、中小受託事業者に年率14.6%の遅延利息を支払う義務を負います。
さらに、取適法の改正で、正当な理由がないのに委託事業者が代金を減額した場合、減額した部分についても遅延利息(年率14.6%)の支払い対象になることも追加されました。
また、中小受託事業者に代金の銀行振込手数料を負担させることも禁止されます。
取締りの強化と制裁リスク
取適法の施行後、制裁の枠組み自体は現行と大きく変わらないと考えられます。
しかし一方で、適用範囲の拡大やルールの明確化により、企業としては違反を指摘されるリスクが高まる可能性があります。
その結果、行政指導等にとどまらず、より厳格な対応が取られる場面も想定されるため、取引条件の整備や記録管理を含めた社内体制の強化が重要です。
まとめ
今回の改正はルールの微修正ではなく、適用範囲の拡大や罰則強化を含む歴史的な大改正です。
特に手形サイトの短縮や新たな価格決定ルールへの対応は、社内システムの改修や契約書の変更を伴うため時間がかかりますので、弁護士などの専門家に相談して自社の取引状況を総点検しておくことをおすすめします。
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弁護士吉崎 猛Takeshi Yoshizaki
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当職は主に中小企業の海外取引や海外進出を中心とした様々な法務サポートや、日本で事業展開する外資企業の法務サポートも行っています。
また、海外の専門家とも提携しており、内容・費用ともクライアントに納得頂ける法務サービスの提供を心がけております。
所属団体等
- 大阪弁護士会所属
- 日本弁護士連合会指定の中小企業の海外展開支援弁護士
- 経営革新等支援機関
- さいたま市産業創造財団、横浜企業経営支援財団ほかのアドバイザー
取扱言語
- 日本語、英語、中国語
著書・論文
- ミャンマー会社法・外国投資関連法※監修、㈱アイキューブ
- 海外派遣者ハンドブック(フィリピン編)※主査、日本在外企業協会
- 中小企業海外展開支援 法務アドバイス※共著、経済法令研究会
- 日インドEPAの原産地規則※ビジネス法務
- 中国ビジネスのための法律入門 中央経済社 他多数
経歴
- 早稲田大学政治経済学部卒業
- ペンシルベニア大学ロースクール(LL.M.)卒業
- 大連外国語学院 長期語学研修課程(中国語)修了
- 2001年 日本国弁護士登録 (54期)
- 2009年 米国カリフォルニア州弁護士登録
- 現在 弁護士法人桜橋総合 代表社員
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