日本企業の中国進出|メリット・デメリットや注意点を解説
中国は、今も昔も日本企業にとって特別な存在です。
可能性に満ちた市場である一方、商習慣、文化、制度、日本人との考え方の違いに悩まされる場面も少なくありません。
それでもなお、多くの企業が挑戦を続けているのはなぜでしょうか。
今回は、中国進出のメリット・デメリット、そして注意すべきポイントを整理します。
中国進出のメリット
現地に根を張ってビジネスを続けている企業にとって、中国はまだまだ「成長の土壌」がある場所です。
14億人の消費市場
中国の大きな魅力は、やはり圧倒的な人口です。
中間層の拡大により、購買力の高い消費者が都市部を中心に増えています。
食品、日用品など、日本企業が得意とする分野にも大きな需要が生まれており、
日本の商品のEC販売や飲食店のフランチャイズ進出なども多く見受けられます。
製造拠点としての優位性
生産地としての中国も、依然として健在です。
都市部の人件費は高騰しているものの、地方などではコスト面のメリットが残っています。
加えて、部品供給網や物流も整備されており、効率的な生産体制が築ける点も見逃せません。
技術力のある人材も豊富ですし、部材も現地で調達できるため、中国企業に生産委託を行うといったこともまだまだ盛んです。
また、高度技術の移転、省エネ・環境技術の高い製品の生産・販売といった形の進出も多いです。
現地化による柔軟性
最近では、現地の人材を積極的に登用する企業もあります。
営業・マーケティングだけでなく、マネジメント層にも中国人スタッフを据えることで、現地事情に即した対応も可能です。
中国進出のデメリット
さまざまなメリットがある一方で、中国進出には少なくないデメリットもあります。
政策変更のスピード感
中国では政策や制度が突然変更されるケースがあります(いわゆる「チャイナリスク」)。
税制、外資規制、行政手続きなど、数年前と比較してまったく異なる条件になることも珍しくありません。
知的財産権のリスク
ブランドや製品を守るのは、中国市場で特に重要なテーマです。
模倣品の流通や営業秘密の漏洩といったリスクがつきまとうため、現地での商標登録や実効性のある内容の契約整備が求められます。
中国では商標登録が難しい傾向がありますし、出願後の審査に時間がかかる傾向があります。また、第三者の先取り商標出願も横行しているため、現地で日本の商標・ブランドで製品を販売したり、店舗を展開するといった場合、早めの対策が求められます。
人材の確保と定着
採用面でも注意が必要です。
優秀な人材は引く手あまたで、報酬への期待も高い傾向があります。
せっかく採用しても早期離職につながるケースもあり、報酬以外の制度設計が問われます。
また、高待遇を求めて転職することも当たり前ですので、技術漏洩を防ぐ社内整備、漏洩してもできる限り回復できるようにする実効性のある内容の契約整備が求められます。
注意すべきポイント
進出するかどうかの判断だけでなく、「どう進出するか」を検討するのも重要です。
- 進出形態の選定:現地法人(独資企業)を設立するのか、現地パートナーと合弁会社を組むのか、技術ライセンスするのか、フランチャイズ展開するのかなど
- 外資規制の確認:業種によって外資規制が異なるため
- 地方政府との関係性:進出先の地方自治体が企業誘致に積極的かどうか、補助金や優遇措置を受けやすいかどうか、など
最低限押さえたいポイントとして、上記の3つを整理してください。
まとめ
中国市場は今なお多くのビジネスチャンスを秘めています。
一方で、商習慣、文化、制度、人材といった点での難しさも根強く残っています。
法的リスクなども存在するため、弁護士など専門家との連携も重要です。
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弁護士吉崎 猛Takeshi Yoshizaki
お客様のスケジュール感に合わせ、柔軟かつ迅速にサポートいたします!
昨今の企業活動はもはや日本だけで成り立つものではなく、あらゆる面で海外のことが関わってくるため、日本法や日本語、これまでの日本での商慣習だけで対応することはできません。
当職は主に中小企業の海外取引や海外進出を中心とした様々な法務サポートや、日本で事業展開する外資企業の法務サポートも行っています。
また、海外の専門家とも提携しており、内容・費用ともクライアントに納得頂ける法務サービスの提供を心がけております。
所属団体等
- 大阪弁護士会所属
- 日本弁護士連合会指定の中小企業の海外展開支援弁護士
- 経営革新等支援機関
- さいたま市産業創造財団、横浜企業経営支援財団ほかのアドバイザー
取扱言語
- 日本語、英語、中国語
著書・論文
- ミャンマー会社法・外国投資関連法※監修、㈱アイキューブ
- 海外派遣者ハンドブック(フィリピン編)※主査、日本在外企業協会
- 中小企業海外展開支援 法務アドバイス※共著、経済法令研究会
- 日インドEPAの原産地規則※ビジネス法務
- 中国ビジネスのための法律入門 中央経済社 他多数
経歴
- 早稲田大学政治経済学部卒業
- ペンシルベニア大学ロースクール(LL.M.)卒業
- 大連外国語学院 長期語学研修課程(中国語)修了
- 2001年 日本国弁護士登録 (54期)
- 2009年 米国カリフォルニア州弁護士登録
- 現在 弁護士法人桜橋総合 代表社員
事務所概要Office Overview
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