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商品に原産地を表示する際に注意すべき法規制およびポイント

企業から「海外でいくつかの工程を経て日本に輸入し、日本で最終工程を行い完成した商品はどの国の商品として表示すべきなのか?」、「同業他社が日本では瓶詰工程しかやっていないのに、商品に「日本産」「北海道産」などと表示しているが問題があるのではないか」といった問い合わせを頂くことがあります。

「日本産」「Made in Italy」「神戸牛」など商品の原産地を表示するに当たって、注意すべき法律はどのようなものがあるのでしょうか。

 

飲食品を除いて、商品に原産地を表示する義務があるわけではなく、商品に原産地を表示するかどうかは任意です。

しかし、商品に原産地を表示する場合には注意すべき法規制があります。

1.不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

景品表示法は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある商品または役務に関する不当表示を規制しており、商品の原産地に関する表示も、同法の規制対象に含まれます。

 

(1)優良誤認表示

景品表示法の第51号は、商品やサービスの品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示したり、事実に相違して、当該事業者と同種もしくは類似の商品やサービスを供給している他の事業者のものよりも著しく優良であると思わせるような表示(優良誤認表示)をすることを禁止しており、商品の原産地に関する表示も「その他の内容」に含まれるものとされています。

 

(2)その他内閣総理大臣が指定する不当表示

景品表示法第53号に基づく告示である「商品の原産国に関する不当な表示」において

①国内で生産された商品について、その商品が国内で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められる表示

②外国で生産された商品について、その商品がその『原産国』で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められる表示

は不当表示にあたるとされています。

 

そして、この告示において、「原産国」とは「商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国をいう」とされています。

 

「実質的な変更をもたらす行為」とは何か?というのは分かりにくいですが、「『商品の原産国に関する不当な表示』の運用基準」という通達の第10項において、以下のような行為は「商品の内容についての実質的な変更をもたらす行為」に含まれないとされています。

 

(1) 商品にラベルを付け、その他標示を施すこと

(2) 商品を容器に詰め、または包装をすること

(3) 商品を単に詰合せ、または組み合わせること

(4) 簡単な部品の組立をすること

 

また、食料品、衣料品、身のまわり品、雑貨の個別商品の実質的変更行為については、「『商品の原産国に関する不当な表示』の原産国の定義に関する運用細則」に定められています。

 

(3)景品表示法に定める上記の不当表示を行った事業者は、消費者庁や都道府県から行政指導を受けたり、違反行為の中止や是正などの措置命令を受けたりします(同法7条)。

また、上記(1)の第51号の優良誤認表示については、違反行為により得られた利益の一部を課徴金として納付するよう命じられたり(同法8条)、措置命令などを経ることなく、いきなり刑事罰(100万円以下の罰金)を課せられる場合もあり(同法48条)、また、行為者のほか法人も刑事罰(100万円以下の罰金)の対象となります(同法4912号)。

2.不正競争防止法

(1)商品の原産地の誤認惹起行為(例えば、商品・サービスやその広告等に、商品の原産地について誤認させるような表示をする行為や、そのような表示をした商品の譲渡等をする行為)も、不正競争防止法の規制対象となる不正競争行為となります(同法2120号)。

 

(2)商品の原産地の誤認惹起行為を行った場合、直接の行為者に対して刑事罰(5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金またはその併科)の対象となり(同法2131号、5号)、行為者のほか法人も刑事罰(3億円以下の罰金)の対象となります(同法2213号)。また、競業する事業者から、民事上の差止請求(3条)や損害賠償請求(4条)を受けるおそれがあります。

3.食品表示法

(1)原産地表示に関する規則

食品の表示に関する規定は、食品衛生法、JAS法、健康増進法で定められていたところ、制度が複雑で分かりにくい表示制度となっていたため、これらの規定を食品表示法に統合しました。具体的な表示のルールは「食品表示基準」において定めており(食品表示法4条)、食品の製造者、加工者、輸入者または販売者は、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をしてはならず(同法5条)、食品表示基準の遵守が義務付けられています。食品表示基準は、食品を「加工食品」「生鮮食品(農産物、畜産物、水産物)」「添加物」に分けて、原産地(原産国)名または原料原産地名を表示することを定めています。

特に加工食品については、国内で製造・加工されたすべての加工食品に原料原産地の表示が義務付けられ、原則として、商品に占める重量割合1位の原材料(水・添加物除く)が原産地表示の対象とされました。また、輸入品は原産国名を表示することが義務付けられています。

 

これらの表示の詳細なルールについては、消費者庁から公表されている「早わかり食品表示ガイド」や「新しい原料原産地表示制度を知ろう(中小企業向けマニュアル)」が参考になります。

 

(3)食品表示基準を遵守しなかった場合、食品表示法違反として指示命令と公表、さらに指示命令に違反した場合は食品の回収や業務停止命令、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(同法20)に処せられます。また、原産地について虚偽の表示がされた食品の販売をした者は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられ(同法18条)、法人は刑事罰(1億円以下の罰金)の対象となります(同法2212号)。

4.関税法

輸入しようとする商品について、(1)虚偽の原産地を表示をしたり(例えば「Made in ○○」「Produced in ○○」「Fabricated in ○○」のように、原産地でない国名等が原産地を表す文句とともに表示されている場合)、(2)誤認を生じさせる原産地を表示をしている(例えば、原産地以外の国、地域及び都市名等の名称が表示されている場合や、原産地に所在しない会社名又は商標その他の図柄等が表示されている場合)ときは、輸入が許可されません(関税法71条)。

この場合、原産地の表示を抹消したり、訂正して正しい原産地表示をしなければ商品を輸入することはできません。

企業が取るべき実務対応

景品表示法、不正競争防止法、食品表示法、関税法などの原産地(国)の表示に関する法規制の内容を理解し、社内でも内容の周知徹底を図ると共に、原産地(国)の表示内容の裏付けとなる根拠資料を準備・管理しておき、表示内容が事実と異なることがないよう、社内でのチェック体制を構築し、管理を徹底することが求められます。

まとめ

商品の原産地の表示に関する法規制や表示方法等について不安があれば、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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吉崎猛弁護士

弁護士吉崎 猛Takeshi Yoshizaki

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昨今の企業活動はもはや日本だけで成り立つものではなく、あらゆる面で海外のことが関わってくるため、日本法や日本語、これまでの日本での商慣習だけで対応することはできません。

当職は主に中小企業の海外取引や海外進出を中心とした様々な法務サポートや、日本で事業展開する外資企業の法務サポートも行っています。

また、海外の専門家とも提携しており、内容・費用ともクライアントに納得頂ける法務サービスの提供を心がけております。

所属団体等

  • 大阪弁護士会所属
  • 日本弁護士連合会指定の中小企業の海外展開支援弁護士
  • 経営革新等支援機関
  • さいたま市産業創造財団、横浜企業経営支援財団ほかのアドバイザー

取扱言語

  • 日本語、英語、中国語

著書・論文

  • ミャンマー会社法・外国投資関連法※監修、㈱アイキューブ
  • 海外派遣者ハンドブック(フィリピン編)※主査、日本在外企業協会
  • 中小企業海外展開支援 法務アドバイス※共著、経済法令研究会
  • 日インドEPAの原産地規則※ビジネス法務
  • 中国ビジネスのための法律入門 中央経済社 他多数

経歴

  • 早稲田大学政治経済学部卒業
  • ペンシルベニア大学ロースクール(LL.M.)卒業
  • 大連外国語学院 長期語学研修課程(中国語)修了
  • 2001年 日本国弁護士登録 (54期)
  • 2009年 米国カリフォルニア州弁護士登録
  • 現在 弁護士法人桜橋総合 代表社員

事務所概要Office Overview

名称 弁護士法人桜橋総合大阪事務所
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