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販売代理店契約(Distributorship Agreement)について(その2)

その1の続きですが、販売代理店契約に関するご相談を受けている中で、二つ重要な点をお話しします。

 

一つが独占販売代理店の指定についてです。

「独占」と言っても、販売許諾地域(テリトリー)では販売代理店しか貴社(メーカー)の製品を販売することができず、貴社ですらユーザーに直販してはいけない「完全独占」と、貴社は他の販売代理店の指定は行わないがユーザーへの直販はできる「非完全独占」のパターンがあります。まず、独占販売代理店の指定をするとしても、この違いを契約書上で明確にしておかないとトラブルの原因になります。

ただし、初めて海外での販売代理店との取引を行う場合に、独占販売代理店契約を締結するのはあまりお勧めできません。独占販売代理店契約を締結した後で相談に来られることも多いのですが、多くの場合、想定したようには売れておらず契約を切りたいがどうしたらよいかというものです。

やはり、販売代理店との取引を進めてみて実務上のノウハウや問題点などを把握し、現地の事情も分かってから独占販売代理店の指定を行うべきであり、販売代理店側の一時的な熱意にほだされて独占販売代理店の指定を行うべきではありません。

まずは、非独占販売代理店の指定とし、契約期間も当初期間を1年か2年と短めにして良ければ更新していくようにすることをお勧めします。契約期間を長くしてしまうと、後で他のところと独占販売代理店の指定ができなくなります。短期間の契約期間の非独占販売代理店をいくつか指定し、徐々に独占販売代理店として1社指定していくアプローチや基本スタンスとして独占販売代理店の指定はしないという方が無難と思います。

独占販売代理店に指定するとしても、契約期間は短めにして、最低販売金額(あるいは貴社からの最低購入金額)義務を課して、それを達成できなければ契約を解除できるようにしておくべきです。

 

もう一つは、製品の性質上、貴社(メーカー)が単に完成品を輸出して、販売代理店が販売許諾地域(テリトリー)で再販売してもらうものではなく、貴社が現地で販売代理店に技術指導を行ったり、ユーザーの工場などで一緒に据付や試運転を行ったり、アフターケアまで支援する必要がある場合の対応です。

この場合に、現地での技術指導や据付・試運転のためにかかる貴社の出費はどうするのか、販売代理店から来てほしいと言われれば何度でも何人でも派遣するのか、据付・試運転完了後のユーザーへのアフターケアは誰がどう出費して行うのかといった点を決めて契約に定めておかないと、貴社に予想外の出費がかかったり、貴社から技術指導や据付・試運転の支援などのケアをアテにしていた販売代理店ともめる原因になります。

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弁護士吉崎 猛Takeshi Yoshizaki

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当職は主に中小企業の海外取引や海外進出を中心とした様々な法務サポートや、日本で事業展開する外資企業の法務サポートも行っています。

また、海外の専門家とも提携しており、内容・費用ともクライアントに納得頂ける法務サービスの提供を心がけております。

所属団体等

  • 大阪弁護士会所属
  • 日本弁護士連合会指定の中小企業の海外展開支援弁護士
  • 経営革新等支援機関
  • さいたま市産業創造財団、横浜企業経営支援財団ほかのアドバイザー

取扱言語

  • 日本語、英語、中国語

著書・論文

  • ミャンマー会社法・外国投資関連法※監修、㈱アイキューブ
  • 海外派遣者ハンドブック(フィリピン編)※主査、日本在外企業協会
  • 中小企業海外展開支援 法務アドバイス※共著、経済法令研究会
  • 日インドEPAの原産地規則※ビジネス法務
  • 中国ビジネスのための法律入門 中央経済社 他多数

経歴

  • 早稲田大学政治経済学部卒業
  • ペンシルベニア大学ロースクール(LL.M.)卒業
  • 大連外国語学院 長期語学研修課程(中国語)修了
  • 2001年 日本国弁護士登録 (54期)
  • 2009年 米国カリフォルニア州弁護士登録
  • 現在 弁護士法人桜橋総合 代表社員

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